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「鏡餅」は三種の神器を模している

福を招く! 年末年始のしきたり①

[年越しそば]……「細く長く」の願いを込める
 そばは切れやすいため「厄を断ち切る」、また「細く長く」の願いが込められているとされる。金や銀の細工職人がお正月休みになる際、床に散らばった小さな金銀の破片を、そば粉を練って丸めたものを使って集めた。そのそばを食べたのが由来とも言われる。金銀を含んだそばを食べるというイメージは、たいへん縁起がよい。

[おせち]……歳徳神へのおもてなし

 

 漢字で書くと「お節」。古くは、節分(季節と季節を分ける日。立春、立秋などの前日)に、神人共食と呼ばれる特別な食事を行った。神人共食とは、神様と人間が一緒に食事をすることで、各家庭に降臨した歳徳神をもてなすという意味を持つ。料理にはそれぞれに意味があるので、神様と語らいながらいただこう。

[お雑煮]……神様への捧げものを分けていただく
 現代では、鏡餅とお雑煮に使う餅は別のように思われるが、もともとお雑煮には、神様への捧げものである鏡餅を分け与えていただくという意味があった。おせちやお雑煮を食べる時は、祝い箸と呼ばれる、両端が細くて真ん中が膨らんだ箸を使うとよい。これは、片方を神様が、もう片方を人間が使うという意味を持つ。

[鏡餅]……五穀豊穣を司る歳徳神への捧げもの

 

 三種の神器を模すとされる。丸い餅が八咫鏡(やたのかがみ)、餅の上の飾るだいだいが八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)。地方によっては串に数個の柿を刺して干したものを横向きに飾ることがあるが、これが天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)を象徴していると言われる。餅は米から作られるので、五穀豊穣を司る歳徳神への捧げもの、あるいは依り代とも言われる。

雑誌『一個人』2018年1月号より構成〉

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田中 治郎

たなか じろう

1946年、宮城県生まれ。横浜市立大学卒業後、出版社に勤務。現在は仏教書やエッセイなどの執筆にあたる。著書に『面白いほどよくわかる日本の宗教』『くじけない心をつくる禅の言葉』(以上、日本文芸社)など多数。


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